
アルミサッシの開閉形式は、一般的によく使われているのが引き違いサッシです。
引き違いサッシとは、住宅に一番多く用いられるサッシで、2枚の障子を左右に引く形式のサッシです。
従来の日本の住まいでは縁側と部屋の間に障子若しくは襖があり、敷居と鴨居で構成されていました。
現在の住まいでは縁側はなく掃き出しになっています。
そこに床から直接サッシを取り付けている引き違いサッシを「掃き出しサッシ」とも言い、サッシメーカーのカタログでは「テラスタイプ」と呼ばれています。
掃き出しサッシの高さは、昔は1.8m(一間)が主流でした。これは本来の敷居と鴨居の高さとほぼ同じに揃うようにしていたからです。
しかし、最近では部屋の天井高(CH寸法)が高くなったのもありますが、
敷居と鴨居を取り付けている住宅が少なくなり高さを合わす必要が無くなったのも理由の一つで、2mが標準的に用いられるるようになっています。
既製品のサイズは、半外付けサッシの腰窓(窓タイプ)で、幅方向のサイズには、関東間・関西間・九州四国間の3タイプで種類は23種類あります。
また幅と高さ方向は300mm・500mm・700mm・900mm・1,100mm・1,300mm・1,500mmの7種類の組み合わせのサッシがあります。
しかし、幅と高さの組み合わせで既製品でないサッシもあります。
次に、半外付けサッシの掃き出しサッシ(テラスタイプ)では、幅方向のサイズは腰窓(窓タイプ)同様、
関東間・関西間・九州四国間の3タイプで種類は20種類あり、
幅と高さ方向は、1,800mm・2,000mm・2,200mm・2,200mm(欄間付き)の4種類の組み合わせのサッシがあります。
またこれも腰窓(窓タイプ)同様、幅と高さの組みわせで既製品でないサッシもあります。
引き違いアルミサッシには、面格子や雨戸・シャッターが一体となっている「面格子付きサッシ」・「雨戸付きサッシ」・「シャッター付きサッシ」と
単体の引き違いサッシ(単体サッシ)とがあります。しかし当然のことながら、単体サッシでも、後付けの面格子や雨戸・シャッターを取り付けることができます。
また、アウトドアリビング対応の段差のないサッシやバリアフリーに対応したサッシも商品化されています。
アルミサッシの取り付け高さ(内法高さ)ですが、1階のテラスなどに設ける掃き出しサッシ(テラスタイプ)の取り付け高さ位置を基本に、
引き違いサッシの腰窓(窓タイプ)やその他のサッシを取り付けます。これは、サッシの取り付け高さを同一に揃えることで、建物の外観が美しく見えるようにするためです。
一般的に、掃き出しサッシは、高さ2mタイプが多く使われていますので、それに合わせて他のサッシの取り付け高さ位置も、床面より2mにするのが一般的です。
ただし、和室の場合は、和室造作材の鴨居の取り付け高さ(内法)は、和室の垂れ壁(天井から鴨居まで)のバランスの関係で1,760mm~1,800mm位にするのが一般的で、
和室のサッシは高さ1,800mmタイプのサッシを使用しますので、洋室と異なった高さ位置となります。
しかし現在の建築では、伝統的な手法にこだわらないモダンな和室としていますので、サッシも洋室の取り付け高さに合わせてサッシ高2mタイプを取り付けています。
次に、腰窓サッシの開口高さは、落下防止の関係から、2階では腰高さを十分に確保する必要があり、1階の腰窓サッシの開口高さより小さくします。
また、1階に設ける和室の腰窓サッシの開口高さは、生活スタイルの基本が座ることですので、洋室の腰窓サッシより、
サッシ開口高さを大きくすることも一つの手段となっています。
尚、2階の和室に設ける腰窓サッシの開口高さは、落下防止手摺はありますが、安全対策の観点から洋室と同じ高さにするのが一般的です。
サッシの断熱性能と結露の問題ですが、1枚のガラスを用いた単板ガラス仕様よりも、2枚のガラスで空気層を設けた、
複層ガラス仕様(ペアガラス)の方が、当然、断熱効果や結露対策になるのですが、最近のアルミサッシは、サッシ自身の断熱性能を向上させた、断熱サッシが多く商品化されています。
雨戸・雨戸シャッターの種類と特徴ですが、台風時の防風対策や空き巣などの被害に合わないようにするための防犯対策として、
引き違いサッシには一体型の「雨戸付き引き違いサッシ」や「雨戸シャッター付き引き違いサッシ」があります。
また、単体の引き違いサッシ(既存の単体サッシなど)に単体の後付け雨戸やシャッターがあり、取り付けることができます。
しかし新築の場合の雨戸やシャッターは、殆どの場合が一体式の引き違いサッシが用いられていますので後付けする必要はありません。
尚、注意が必要なのは、住宅メーカーや工務店が商品化している住宅では、1階の引き違いサッシに標準装備され、
2階の引き違いサッシはオプション対応であったり、個数を限定して標準装備しているケースが多く、
全ての引き違いサッシに雨戸若しくはシャッターが標準で装備されているとは限りませんので確認をしておいたほうが良いと思われます。
雨戸付き引き違いサッシ及び後付けの単体雨戸には、「閉鎖型戸袋タイプ」と「開放型戸袋タイプ」の2種類の雨戸があります。
「閉鎖型戸袋タイプ」は、戸袋枠をサッシ同様、直接柱や間柱の躯体に取り付け、その後、外壁を仕上げるタイプですので、
戸袋内の壁は、通常仕上げませんので戸袋が必要となります。この雨戸を、鏡板付き雨戸とも言います。
「開放型戸袋タイプ」は、外壁を仕上げた後、躯体に取り付けられたブラケットへ戸袋枠を取り付けるタイプで、
鏡板無し雨戸とも言い、戸袋内の壁は、外壁と同一仕上げとなりますので鏡板なしでも可能です。
一体式の雨戸シャッター付き引き違いサッシ及び、後付けの単体雨戸シャッターの開閉方式には、
手動タイプと電動タイプがあります。また、電動タイプには、シャッターを閉めても通風・換気ができる機能や、
障害物検知機能などが装備されているシャッターが開発され現在、商品化されています。